再び新日鉄トアルセロールミッタルについて

アルセロールミッタル粗鋼生産が約1憶2千万トン、アルセロールがミッタルにM&Aされ世界3位から2位となった新日鉄の粗鋼生産量は3千3百万トン、アルセロールミッタルは新日鉄の3.6倍という巨大規模である。

今年三月の記者会見でミッタルは数年内に「2億トン体制を実現したい」と発言しているようだ。ミッタルは資本力にものを言わせて即座に敵対的買収を仕掛けてくるかもしれない。新日鉄時価総額は三兆三千億円に対してミッタルは約六兆円単純な規模の比較だと新日鉄に勝ち目は殆どない。

ここでアルセロールミタルと新日鉄の特許登録件数見ると、ミッタルは4件、アルセロールも22件、これに対して新日鉄、元、川重のJFEは六百から八百件を誇っている。さらに粗鋼生産量で新日鉄の5.6倍を誇るアルセロールミッタルの研究費が二百五千億円、新日鉄四百十二億円の6割程度に過ぎない。

また新日鉄個人投資家とのパイプを太くするためインベスターズリレーションズ(IR)を強化し始めた。住友金属工業神戸製鋼所ポスコ(韓国、新日鉄資本提携)などとは安定株主としてお互いの株式を持ち合う戦略も展開中である。成長重視路線に経営の舵を切り自社株の買い入れ消却など株式の需給と改善努力も怠らない。日本政府が1950代から重点援助政策をとってきたブラジルのウジミナスとの連結子会社化さらにブラジルノウジミナスを持分法適用会社として傘下に入れた。

ミッタルがアルセロールを買収してから4年その巨大な資金力をフルに新日鉄買収に向けようとしている。経済産業省のある幹部はこれに対して「平成の八幡 富士合併が不可欠だ」と胸のうちを明かし、新日鉄JFEとの国内一、二位、合併、あるいは住金、神戸製鋼との一、三,四位合併を決断するよう迫っている。ミッタルが手を出さないくらいの巨大企業になれという意味である。ミッタル以上に高度なM&Aの買収法を駆使して逆にアルセロールミッタルを飲み込むべきだと指摘する声もある。