労働者の賃金格差

フリター、パートタイマー、契約社員派遣社員は現在の日本経済を支えている正規社員の重要な代替要員である。彼らは好き好んでこのような雇用形態に甘んじているわけではない。企業は現在イザナギ景気以来という好景気に沸いている。しかし好景気は特定の大企業に限られ日本の大企業を支えている中小企業にまで好景気が及ばないのが実情である。

中小企業といえども全てが大企業の下請けや関係企業というわけではない。日本の企業の90%までは中小企業で構成されている。それで中小企業での非正社員の年収は200万円以下と報告されている。その労働者の数は1000万人を超えるようである。一方1000万円を超える人は225万人である。

日本での非正社員の賃金は欧米に比べて可なり低いようである。欧米では非正社員最低賃金の歯止めがあるので非正社員でも比較的賃金は高く設定されている。年収200万円では結婚もままならず、勿論妻、子供を養ってゆけない。仕事の掛け持ちでもすれはなんとかなるかもしれないが体が持たない。

2,30年前は労働組合も強く毎年のようにベースアップがあり賃金は上昇し、非正社員は比較的早く正社員になることも出来た。既に退職している80才以下の団塊の世代の労働者は中産階級の生活を楽しんできたわけである。しかしこの時代はかなり長く続き労働者対企業のありかた、つまり組合意識も殆どなくなり組合はあって無きガごとき状態になっている。

そこに小泉時代構造改革が我々の中流意識を破壊したのである。ワーキングプアーの誕生である。いまの若者は親が中流意識の時代の社会、家庭環境で成長したので彼らの親たちが行ってきたような労働運動を知らない。それで社会に出ても労働運動的な資本家VS労働者という公式を知らない。それで労働者間などの格差が生まれてくるのではないか。しかしこれから情報化社会とこれまでの企業社会と異なった形態の技術体系が普及して標準化すれば所得も上昇し生活形態も変動するのではないか。