病める社会

この国は救いようのないほど「病んでいる」。無差別の殺人や未遂事件は、昨年までの10年間に67件おきている。{朝日新聞6月10付社説}このような事件の発生する社会的背景は資本主義経済の歪な発達が考えられる。

若者の多くは派遣社員契約社員など就労形態が単なる資本主義経済の発展から惹起される姿ではない。この階層の若者は多くはワーキングプアなどと呼ばれ生活はその日暮らしで、昔の資本主義経済の勃興期の様子とまた異なる。当時は労働者は仕事の単なる歯車であると揶揄されたものである。

現在は経営者が労働者を仕事の仲介業者を介して[派遣]、[契約]労働者として先ず労働仲介業者が彼らから[搾取]つまりピンハネ、企業では昔のように終身雇用ではないので会社側と労働者、労働者間は短期の[派遣]、[契約]の冷たい人間的な繫がりしか見られない。

特に労働者同士の暖かい繫がりは殆ど見られないのではないか。このような社会ではかって一億層中流時代の人間に見られた人と人との繫がりの暖かさはなく今ではとげとげしい繫がりとなり社会は砂漠のように乾いて潤いがない。このような社会環境であるので冷酷、悲惨な事件が多発するのではないだろうか。

また今年始まった後期高齢者医療制度など、市場原理主義にもとづく残酷な[棄民法]{朝布新聞、[聞く]}が施行され一般市民のなかで75才以上の高齢者の政府の扱いはもう言語に絶するものがあり人間と思っていない。この日本社会での若者に対する政府の無能、高齢者に「死」では世の中、殺伐とする事は必定である。