中公新書ラクレ 東 一眞著 中国の不思議な資本主義

中国は私が今さら語るまでもなく毛沢東周恩来によって作られた共産主義国家である。現在体制は依然として共産主義であるが、経済は政策的に資本主義である。中国は資本主義政策をしいているが日米欧の内容と全く異にしている。先ず第一に先進資本主義国家のように洗練されていない。国の経済、政治などは腐敗に満ち満ちている。この書物を読んで感想なり梗概を書くつもりでいたのですがそのさわりの所を抜粋したほうが説得力があると思い抜粋のみとしました。

つまり中国人は順番を待ち列に並ぶ事が出来ない。ワット群がって我先にと突っ込んでゆく。マナーの悪さは言語に絶する。勿論経済でもいいものがあれば先を争って群がる。また規範というものが見られない。自動車ローンはあっても無きに等しい。銀行は不良債権の山。当然自動車ローンは無くなる。交通信号機は全く無視するためにあるようなもの。電化製品、バイクが良く売れると全ての企業が同じものに飛びつく。電化製品、つまりTV、冷蔵庫、洗濯機、電子レンジ、はどの企業も造り、バイクも同じである。それぞれのブランド名は模倣され、日、米、欧ノブランドは少し変えただけで名称は似た物がつけられる。

日本などは大変な損失をこうむっている。ソニーが売り出そうとするプレステIIなどはソニーの正式発売の2週間前からそれの偽ものが格安で販売されている。兎に角偽者つくりの名人とでも言うべきか。官界では官僚の腐敗がすごい。官職の売買は日常茶飯事。例えば省人民検査院の検察長の官職を売りかけるなど判明しているだけでもポストを与えた見返りに1030万元{約1億5500万円}をえていたということである。このように肩書きに長とつくものの官職を売る商売はいい儲けになるのでやめられないようである。

公金を使った賭博、報道を総合すると中国国境周辺で諸国、例えば北朝鮮ベトナムラオスミャンマー、ロシアなど中国国境周辺の賭博場で中国人の役人が不正に得た資金で大博打を打ったのである。2005年1月までに検挙された8万人から明らかにされないが、多分殆どが国、地方の役人が、国有企業の幹部だったと見られる。

他に闇市あるいはダフ屋に切手や乗車券の「横流し」が恒常的に行われているという事実である。正規の価格でこうしたものを購入する事がなかなかむつかしいのだ。国家の汚職はきりが無いのでこれくらいにしておく。貧富の格差 a)富裕層は才能と努力で金持ちになった人であると同時に権力を使った金銭ゲームが役人と共謀した人たちだったり、あるいは偶然に独占企業で働いたり、あるいは国家財産を盗んだ人たちだ。b)既に合理的な水準を越えた貧富の格差は、今後共に拡大する傾向にある。この傾向が長期間進めば、多様な社会フアンを引き起こすことになる。この新書は300ページに近い書物である。大体さわりの部分を抜き出して中国の資本主義についてかいたつもりです。