ある冤罪

実際自分が犯していない犯罪を警察官の脅迫や誘導で犯人に仕立て上げられ裁判で有罪と判定された場合どんなに惨めか、悲しいか、情けないかまた地団駄踏んで悔しさを紛らわそうにも紛らわせられない其の人の心情は察しても余りある。恐らくこの世に神も仏もない地獄以上の苦しみを味わう事であろう。更にこの後裁判官の判決により「何年間は服役することになる」。

この場合正常な神経はずたずたに裂かれ没我の心境になり、死を選んだ方が生きて服役するよりよほどましだという精神状態になるであろう。このような事件が最近富山県で実際にあったのである。40歳の男性が強姦、強姦未遂の罪に問われたのである。警察の取調官から無理やりに犯行を認めさせられいくら否認しても取り合ってくれない警察官が「親族からお前に間違いないからどうにでもしてくれ」といわれたとこのような嘘をついたり、犯行を犯した部屋の間取りの見取り図を書かせたり、犯罪者の心理に追い込んでゆく。もうこのように繰り返し繰り返し犯人扱いをされ、脅迫まがいの発言を浴びせかけられるともう頭は朦朧として認めざるを得なくなる。

男性は逮捕された後、検察官や拘留質問の裁判官,接見した国選弁護士に犯行を否認している。この場合田舎の警察の態度の悪さ、日本の場合物証より自白を重く見る自白主義に重きを置くこと、検察官の程度が余りよくなかったこと、更に最大のミスは国選弁護士であったことである。国選弁護士でなかったらもう少し結果が良かったのではなかろうか。

この男性が裁判で事実をしっかり述べようとしたが先ほども記したように日本の自白主義に重点が置かれ裁判で2年余りの刑期が決定した分けである。それで服役中にこの男性が犯人の似顔絵を書いた。それが手がかりとなり住人が通報したのである。それで真犯人が検挙され男性が冤罪と判り晴れて無罪となった。

それで無罪の判決の折に取り調べた警官を呼ぶように男性が要望したが裁判官が認めなかったようである。また同じ裁判所で無罪の判決を言い渡されたわけであるがなんの謝罪も裁判官からなかったらしい。この場合問題になるのは弁護士の出来が良くなかった事と何故最高裁まで争わなかったのかという事である。最後にこの男性の2年余の失われた時間をどう補うのか。人権の重さを噛み締め警察も、裁判官も事の重大さを心すべきであると同時に日本の警察、裁判官の猛省を促す。