少年調書流出事件問題について

2006年に奈良県で起きたl7歳少年による事件である。資料を漏洩したとされる鑑定医と著者の自宅が強制捜査を受けた。容疑は秘密漏示である。更にこの鑑定をした医師が奈良地検に逮捕されている。当時16才だった長男らの供述調書を単行本の著者に見せたということだ。

それで単行本に長男と父が描かれ精神的な苦痛を受けたとして告訴したわけである。ここで問題になるのはプライバシー保護と表現の自由この対立する二つである。文章の公開は少年の人権を侵す可能性もあろう。しかしそれを配慮しても国民の知る権利の価値を重く見る必要もある。

メディアとしてはその資料の入手経路はともかくそれが手に入って現にここにある以上発表するのは鉄則である。筆者が簡単に地検に情報源を割り出されてしまっている。これでは取材に協力してくれる人ガいなくなる。

取材源が守れなかったというマイナスがあったとはいえ、医師が起訴されるのはおかしい。情報を取材する協力者もノンフクションの書き手たちの持つ衝動や欲望、つまり国民の知る権利が侵されなりかねないからだ。わたしは地検が筆者に手を出す事を絶対にすべきでないしもしそのようなことになれば民主主義を踏みにじる行為だと断ずる。