第百三j十八回芥川賞を読んで

第百三十八回芥川賞受賞作川上未映子「乳と卵」を読みました。拙い感想を書いてみます。私、巻子(私の姉)、巻子の娘、緑子、巻子は10年程前に離婚。巻子はあるスナックのホステス。巻子は豊胸施術に真剣に取り組み毎日毎日パンフ収集に余念がない。

緑子は初潮を経験し生理の中に潜む卵子に毎回嫌悪を覚え将来精子との結合に否定的である。そこで巻子が夏のある日緑子と東京に豊胸施術のため大阪から上京する。東京で母娘で銭湯を楽しむ。巻子の乳房なり体の細部が長々と描写される。少々冗長である。
ある夜巻子が外出し帰りが遅くなる。緑子は彼女の行動に色々想像を巡らすが母の本心を聞かせてくれと訴える、勿論乳房の事だろう。ここで緑子は初潮をみた時から卵子に不快感を隠さない。
そこにあった卵を頭に叩きつけ次から次と卵を身体中に叩きつける。緑子が好まなかった卵(卵子)を母が娘を産んだばかりに衰弱した乳房、緑子の哀れみと卵子への嫌悪のダイレクトな表現と理解してもいいのでは。母巻子の同調した行動が理解できない。芥川賞の作品としては最近のものの中でも印象に残るものであった。ただ芥川賞に値するだけの文体には少しお粗末過ぎるように思える。余り出来のよくない一服の抽象画のようだ。乳と卵―そのありかたに明確にしっかりしたものが欠落しているように思いました。