ロシア大統領選

この度ロシア大統領選で第一副首相のメドベージェフ氏が圧勝し、プーチン大統領は大統領に横滑りし、自転車の二人漕ぎつまり「タンデム型」を取る事になった。メドベージェフの大統領選出は昨年の12月プーチン大統領が既に自分の後継者は彼にと指名していた。今日の(3月3日)選挙で其れが実際に具体化したわけである。

メドベージェフ氏の得票率70.2%、プーチン氏が前回71.3%でこのあたりは全くプーチン氏の作為的なものとしか考えられない。しかしプーチン氏は首相に就任しても大統領と首相の権限を越えるようなことをしないと昨年12月の時点から繰り返し述べている。それで昨年12月の新聞でメドベージェフ氏が当選を果たせば政府系大企業と結びつくのでプーチン氏の指導力もある程度弱まるのではないかとの観測もあった。

しかしプーチン氏は大統領時代にインフラ整備は遅れておりそれで経済や社会の問題と取り組みたいともらしていた。それでプーチン氏はメドベージェフ氏をそんなにやり手でない大統領にし、自身がある程度権力を持った首相でありたいと望んでいてもメドベージェフ氏が上述のように政府系大企業との結びつきを強めるとプーチン氏とメドベージェフ氏の間に齟齬が生じるのではないかと見るむきもある。既に僅かではあるがそのような現象をきたす綻びが観測されるとの一部の評論家の見方も出ている。

いずれにせよ「タンデム型」は物理的には旨く行けばこれほど強力なものは無いが一歩踏み違いが起こればどうにもならない形態を招来する。ロシアは社会主義時代には極めて剣呑な政治体制を経験し資本主義経済社会の形態をとってもなんとなく不完全な姿を晒し本当の民主主義社会の形成にはまだまだ時間が必要であるように思う。