ガン病棟のピーターラビットを読んで

中島 梓(小説を書く場合のペンネーム栗本 薫)の「ガン病棟ピータラビット」を読んだ。文句なしにいいエッセイであった。この人は37才の女盛りの頃乳がんに侵され片方の乳房を切除されたわけである。

女性にとって乳房を取り去る事はどののように表現すれば言いか判らないほどその辛さが痛いほどよく判る。その当時にはご自分の人生の悲しさ、非常さなどの苦しみにとらわれておられたでしょうが全てを乗り越え今50代を迎えられたわけである。

ところが50才過ぎにまたも肝臓ガンに襲われたのである。乳がんの手術から17年も経っているので再発ではないと断定する。この人のエッセイは2007年10末からの身体症状から描写されている。07年10月過ぎに病院に受診され胆管閉塞−肝臓ガンであることが判りまたも闘病瀬活をされる。恐らく最初の手術から17年も経過している。それでとっても、つらくて悲しく、情けない心境に陥り、その苦しみは人にもらせず恐らく奈落の底に引きずりこまれるような心情で死を意識せずにはいられない日常だったでしょう。

しかし彼女のエッセイでは死を意識させるような表現もなく酷い辛い闘病の毎日でありながらその文章は微塵も陰気さはなく淡々と闘病の日々が快方に向かい過ぎてゆく表現が楽しい。沢山の管を身体に差込よくりそれを抜く作業も暗さは無い。この人の文章は恐ろしい病との闘いであるのにアケラカンとしておりこれぞプロの作品だと言う事を充分感じさせる。次には「転移」についてのエッセイを表すと「あとがき」にあった。是非読みたいものだ。・