野良のちびとくろ

朝疎水の小道に沿って何時もの方向に行くと小道に植えてあるコスモスの群れの中からくろが私を遠くから見つけて跳んできて餌さをねだる。餌の缶詰の中身を器に移しているとくろII(これから「くろをちび」「くろIIをくろ」と名付ける)がいつの間にか私のそばに来ている。

くろにもちび同様に公平に缶詰を与えるがちびは缶詰が好きでくろのまだ残っている餌をとって食べる。無くなると両方の器に餌を補給してやるがちびがくろの餌を食べに行く。くろは利口な猫でこれをちびの好きなようにさせておく。くろは固形の餌が好きなようでこれを与えるとちびがまた食べに行く。

好きなようにさせて自分は少し距離を置いてうずくまっている。くろの前足を車に轢かれ先が大ぶん曲がってスピードを出して歩けない。それで少し前に一灯園のそばから子供のいたずらで疎水に落とされたそうである。それで今の場所で住み着いているようである。しかし大人しく鷹揚な性格でその猫のことをよく知っている人は「賢い猫やなあ」最近毛の色艶もよくなり、よく肥えてよかったなあ!と賛美とねぎらいの声と共に頭を撫でて去って。ちびは人懐こく私の膝に乗りごろごろと喉をならす。拙宅にも二匹の猫がいる。共に可愛がってやりたいものだ。だが毎朝このちびとくろに疎水の小道で会うのが本当に楽しい。