チビちゃんはついに現れず

チビちゃんが彼女の住いから出奔してからほぼ1ヶ月近くたつ。彼女の消息を聞くが全く姿を捕まへられない。家内に話すと雄猫はある時期に雌猫を求めてどこかに行く。そして自分の住いに二度と帰らないとのこと。このことは家内が岡山に住んでいた頃の娘時代に雄猫を飼っていた。このときにその猫がどこかへ行き二度と自宅には帰ってこなかった経験をしたようだ。

この同じことが2,3年前内田百間著「ノラや」を呼んだとき一度住いを出て行った猫を著者が一年ほどノラの帰りを待ち続けたがついに帰らす、著者のノラの帰宅の期待と姿を見せなかった悲しみと落胆を描いた作品に強く胸をうたれた。私はいま全くこれと同じ心境だ。残念ながらチビちゃんの帰りを期待せずに待ち続けることに決心た。あれほどよくでき、性格のいい猫とはいまいちど会い、つきあいたく切望する。